ドラマ『御上先生』で、主人公・御上孝(みかみ・たかし)が教育現場で直面するさまざまな社会問題のひとつに「生理の貧困問題」があります。
御上先生は、エリート官僚として日本の教育制度に深い問題を感じ、その現場で改革を試みています。第6話の中で、椎葉さんという一人の生徒が直面する問題として、教育環境における生理の貧困がどのように女性たちの学業や生活に影響を与えているかということを、取り上げられていました。
正直私は、「生理の貧困」という言葉を聞いたのは初めてで、是枝先生がこの言葉を言った時、軽く聞き流してしまっていました。
でも、女性として見逃してはいけない問題だなと思い、調べてみましたのでぜひ一緒にご覧になって下さい!
生理の貧困問題って何?

生理の貧困とは、経済的な理由で生理用品が手に入らない、または十分に手に入れられない状況のことを指します。
日本における生理の貧困問題は、特に低所得層の女性や若者に多く見られ、家計への影響が深刻です。経済的に厳しい状況の中で、毎月の生理用品費が負担となり、最終的には健康や学業に影響を与えることがあります。
2022年の厚生労働省の調査によれば、特に年収が低い層や20代以下の若い女性の中で、生理用品を手に入れることに困難を感じる人が増えていることが分かっています。
他の生活必需品は買うのになぜ生理用品は買えないの?
こうした女性たちは、生活費の中で食費や学費など、他の必要経費を優先するため、生理用品は優先順位は低くなり結果購入できなくなります。
さらに、自分が困窮していることを周りに知られたくないため、表面には表れない生理用品は後回しにしてしまうこともあります。
椎葉さんと生理の貧困問題
ドラマ『御上先生』の中で、椎葉という生徒が生理の貧困問題を抱えています。
椎葉さんは幼い頃に両親を亡くし、祖父母に育てられていますが、祖父は認知症、祖母は病気で、生活は非常に困窮しています。椎葉さんは、高校に通いながらバイトをして祖父母の介護を行い、生活費を稼ぐ日々を送っています。
そのため、生理用品を十分に買うことができず、保健室から生理用品をまとめて持ち帰るという行動に出ます。
椎葉さんのような生徒は、経済的に苦しい状況の中で学業や生活に困難を感じ、生理の貧困が彼女の生活をさらに厳しくしています。自分の状況を周囲に言えず、支援を求めることができずに苦しんでいます。
彼女のような学生が学校で必要なサポートを受けるためには、社会全体で生理の貧困問題を認識し、解決策を講じる必要があります。
生理の貧困に対処するにあったての問題は?
生理の貧困という問題は、世界レベルで存在します。
コロナ過以降、収入が減少したということもありますが、生理の貧困に陥るのは収入が少ないからだけではありません。
日本と他国の生理に対する認識の違い
日本の生理に対する認識は、他の多くの国々と比べてまだまだ遅れている部分があります。
生理についてオープンに話すことが少なく、社会全体での意識改革が遅れているのが現実です。
実際、27カ国を対象に行われた調査では、「生理についてオープンに話せるか」という質問に対し、日本は27カ国中25位、G7諸国の中では最下位という結果が出ています。このように、生理について公に話すことがタブー視されている状況は、無償提供を受けることに対する心理的障壁をさらに強めています。
日本では、トイレにトイレットペーパーがあるのが常識です。
では、なぜトイレに生理用品はないのでしょうか?
なぜトイレに生理用品がないのか?この質問を見たとき、私はその質問自体に違和感を感じました。
生理用品が公共の場にあることを想像だにしていなかったからです。
排尿や排便は全ての人がすることで、その処理に対しては快適なトイレが用意され、トイレットペーパーが準備されており、ティッシュを持っていなくても問題ない。
しかし、生理に関しては自己責任です。ナプキンがなくても持っていない自分が悪いということになります。健康な女性の大半が経験している生理現象であるにも関わらずです。
そのように考えたとき、腑に落ちました。
今まで、生理というのは女性特有のもので、他の人特に男性には知られないようにして、一人で耐えるのが普通だと思っていました。すべてが自己責任。
でもその時点で世界の認識との乖離があるということですね。
生理用品の無償提供は有効?

生理の貧困問題の解決策として、生理用品を学校で無償提供することが一つの方法として挙げられます。実際に、経済的な理由で生理用品が手に入らない生徒たちにとって、無償提供は非常に有効な支援となるでしょう。
しかしこの問題は、金銭的な側面だけではなく、日本独自の「生理に対する恥ずかしさ」や「タブー意識」といった心理的要因にも深く関わっています。
では、なぜ生理は恥ずかしいことなのでしょうか?なぜタブーなのでしょうか?
性に関する問題は、男性も女性もお互いの性をお互いに隠してしまう傾向にあります。
でも、お互いの体のことを理解することは相互理解の始まりです。今回のテーマの生理に関してのみで言っても、人類の存続にかかわる生殖機能に必要な生理現象です。
それを女性個々で抱え込む必要はないという発想の転換ができれば、日本の性に対する考え方が成熟する要素になるのではないかと思います。
現時点で「女性だけの問題」とされていることでも、私たち「人類の問題」と見れるようになった時タブーではなくなるのではないでしょうか。
まとめ

生理の貧困問題は、単なる経済的な問題ではなく、文化的、心理的な問題とも深く関わっています。
生理用品の無償提供を行うことは、金銭的な支援として非常に有効ですが、それを実現するためには、生理に対する偏見をなくし、オープンに話せる社会を作ることが不可欠です。
御上先生では、このような社会的な問題を積極的に扱っています。
椎葉さんの問題だけでも、この生理の貧困だけではなくヤングケアラーの問題もあり、毎回考えさせられます。
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