ドラマ『御上先生』の中で、常盤貴子が演じる冴島先生は、物語の中で重要な役割を果たしています。冴島先生は御上先生と違って、教育改革や隣徳学園の再生の中心人物ではないですが、御上先生が動くきっかけとなった事件の中心人物です。
正直、序盤から中盤にかけて神崎拓斗(奥平大兼)をかたくなに遠ざけようとしている部分しか無く、謎な要素が多くてぱっとしませんでした。
でも、終盤に向けて優秀で熱意のある教師であったであろうことが伺えるシーンや、母としての深い愛情が感じられるシーンを見ると、ドラマの中における冴島先生の役割を考えるようになりました。
本記事では、その物語の根底を流れるエピソードに思いを馳せたいと思います。
よかったら、ゆっくり見ていって下さいね。
真山弓弦の更生への道

出典:『御上先生』最終話より
冴島先生が関わる最も大きなテーマの一つは、冴島先生の娘である真山弓弦(堀田真由)の更生です。
弓弦は、罪もない受験者を無差別に殺しました。そして、当初はそのことを悔いるそぶりを見せませんでした。
しかし、罪を犯すことになったいきさつは複雑です。御上先生が言うところの、バタフライエフェクトです。
まず、冴島先生が出来心でカンニングをした生徒をかばい、それをネタに古代理事長に、不正入学の片棒を担がされます。そして、それをネタに同僚の先生に関係を迫られます。それを神崎君がスクープして、表ざたになり、冴島先生は燐徳学園を退職します。
冴島先生はDV夫に離婚され、弓弦はDVの父親のもとに一人取り残されます。母親はいなくなり、父親のDVに晒された弓弦は、現実逃避から、革命家の思想にかぶれていきます。そして、国家試験会場で、爆弾を投下しようとしたが不発で、東大卒の受験者を無差別に刺し殺してしまいます。革命を起こそうとしたわけです。
序盤での弓弦は、世の中のすべての人を否定しており、心を閉ざしていましたが、御上先生や、神崎君の熱意に負けてその声に耳を傾けるうちに、自分のしたことは革命でもなんでもなく、残酷で意味のない殺人であることを理解していきます。
冴島先生が弓弦にようやく面会が出来た時、弓弦は「もう来ないで」と言います。それに対して冴島先生は「一人で償いたいのね。御上先生と神崎君が教えてくれたのね」と返します。

この時の冴島先生に、母としての深い愛情と、冷静で洞察力にあふれた知性を感じました。同じ母親として、尊敬の念を抱いたシーンでした!
教育改革の中心に立つ御上先生

出典:『御上先生』
御上先生は、生徒たちの未来を守るために、学園内の不正や腐敗を暴き、教育制度の改革に立ち向かいます。彼は、大人の不正に巻き込まれた千木良さんや、弓弦のような子供が2度と現れないようにと、奮闘します。
それに対して冴島先生は、その改革に全く関与していませんが、教師の立場を追われた後も、生徒の事を一番に考え行動していたことは明らかです。
燐徳学園の不正を正して、教育改革を進めていくというのが、このドラマの大筋ではあると思います。でも、自分の知らない間に不正入学をさせられていた千木良さんが高卒認定を受けて、大学受験をすることや、道を誤った弓弦が、自分のしたことを真に反省して更生することは、大人のエゴに負けない強さを身につけた「大逆転教育再生ストーリー!」というこのドラマの主旋律を成していると言えるのではないでしょうか。
冴島先生と神崎拓斗の関係

出典:『御上先生』
冴島先生と神崎拓斗との関係は、物語の中で重要なテーマの一つです。神崎君は冴島のスキャンダルを暴き、燐徳学園を追い出したわけですが、やがて表面的なことしか見ていなかった自分に気づきます。ジャーナリストを目指す者として、自分の過ちに向き合い、真実を追求する為冴島先生に体当たりをします。それに対し、冴島は神崎を突き放しながらも真に彼の為を思い行動する姿は、教師を辞めてもなお、真の教育者であることを示し続けます。
神崎君が守られるべき子供から、自分の行動の意味を深く考えてそれを自分でリカバリーできるほどに成長しているのを認めた時に、冴島先生は重要な証拠を神崎君に託します。

この瞬間に、彼らは同志になったんですよね。
胸熱な展開でした!
まとめ

出典:『御上先生』最終話より
このように、冴島先生は『御上先生』の中で教育改革の直接的な中心ではないものの、物語の核を支え、登場人物たちの成長に大きな影響を与えています。彼女の演技は物語の根幹を形作る重要な要素となっており、教育というテーマに深みを加えました。
『御上先生』というドラマは、官僚が教師となって改革に挑むという挑戦的でセンセーショナルな内容でしたが、御上先生や冴島先生の生徒に対する優しいまなざしや、それに答えて、急激な成長を遂げる生徒たちを見ると、深い感動で胸が熱くなりました。
皆さんもこのドラマを楽しまれたのではないでしょうか?
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