ドラマ「秘密」では、複雑で深い心理的背景が絡む事件が描かれています。
その中でも4話と5話の事件は「傍観者効果」が重要なテーマとなっています。
この事件は、無関心な集団の中で起きた犯罪が引き起こす復讐劇を描いており、犯人がどのように心理的に追い詰められていったのか、そしてその結果として犯人を憎むべきか、同情するべきかという深い問いを観客に投げかけます。
非常に興味深かったので、傍観者効果についても調べてみました。一緒にご覧ください!
【秘密】の中の事件における傍観者効果とは
ドラマ【秘密】の中の事件と傍観者効果はどういう関係があるのでしょうか?
そもそも、傍観者効果とは?
ドラマ【秘密】における傍観者効果に起因する事件

この事件の発端となったのは、満員電車で薬剤師・里中恭子が刺されるという衝撃的なシーンです。
にもかかわらず、その車両に乗り合わせた乗客たちは、誰一人として彼女を助けず、目撃証言をすることなく無視を決め込んでしまいます。
これがまさに「傍観者効果」の典型的な例で、
「集団の中で自分が行動しなくても他の誰かが何かするだろうという期待から、結果として誰も助けない状況」が生まれます。
この無関心の集団の中で、目撃した犯人は深い心理的衝撃を受け、その後、傍観者たちに復讐を誓います。犯人は、自分がかつて目撃した無反応な集団に対する怒りと絶望から、ウィルスによって次々と殺害を重ねることになります。
傍観者効果とは

「傍観者効果」は、集団の中で緊急事態が発生した際、個々の人々が行動を起こさない現象として知られています。
この現象は、1964年にニューヨークで発生したキティ・ジェノヴィーズ事件で世界的に注目されました。事件では、38人もの住民が彼女の助けを求める声を聞きながらも誰も行動しなかったという衝撃的な事実が明らかになりました。
これが引き金となり、傍観者効果に関する社会的な議論が広まりました。
傍観者効果3つのメカニズム
傍観者効果について研究されるきっかけとなったのは、ニューヨークの事件ですが、実は日本人の特性は、この傍観者効果の現象に陥りやすいと言えます。
それは、傍観者効果は起こるのメカニズムを考えると分かります。
1.責任の分散
自分が助けなくても誰かが助けるだろうと思ってしまうことです。
傍観者が多いほど顕著になります。
2.社会的影響
まわりの人が助けていないから、自分もしなくても良いだろうという心理です。
他人数で一つの課題に取り組む時に、一人当たりのパフォーンスが下がる「社会的手抜き」という現象もあります。
3.評価懸念
他人の評価を気にして、行動に移せなくなることです。
「助けるタイミングでなかったらどうしよう」「上手くいかなかったら周りの人になんて思われるだろう」「恥ずかしい」など、考えてしまい、動けなくなります。
以上3つのメカニズムがあるのですが、日本人は集団行動に慣れすぎていて、集団の中で目立つことを嫌う傾向にあります。
そして、人にどう思われるかを気にする人が多いのでないでしょうか?
これらの特性は、特に2番目と3番目のメカニズムにあてはまりますよね。
ですから、傍観者効果に陥りやすい日本人の私たちにとってこのドラマ【秘密】の事件は、他人事ではありません。
犯人の心理:憎しみと復讐

犯人が犯行に至った背景には、傍観者効果による深刻な心の葛藤があります。
目の前で思い人が命を奪われ、誰も助けようとしなかった無関心な集団に対する憤りが、犯人を復讐へと駆り立てました。
危害を加えたわけではないが、助けもしなかった同じ電車の車両に乗り合わせた人々にウィルスによる攻撃をしかけ、感染者を2次感染がおこる前に殺害します。
犯人を憎むべきかという問いに関して言えば、殺害された人々やその家族の視点からすると、間違いなく憎むべき行為です。
しかし、社会全体の無関心が引き起こした痛ましい結果として、犯人が犯行に至った過程を考えると、ただ一途に憎めるのか?という疑問も湧いてきます。
犯人を憎むか、同情するか?
この事件では、犯人をどのように評価すべきかという問いが観客に深い思索を促します。
犯人が傍観者効果に反応して復讐を行ったという心理的背景を理解すれば、彼の怒りと絶望に同情することができるかもしれません。
しかし、それが犯罪行為に及んだ時点で、彼の行動は決して許されるものではなく、無視した集団への復讐という形で他人の命を奪う行為は非難されるべきです。
犯人を単なる「憎むべき存在」として片付けることは簡単ですが、彼の行動の背後にある社会的な問題、すなわち「傍観者効果」がもたらした影響を考えた時、そう単純なことではないことを思い知らされます。
犯人の復讐心がどのように生まれ、どうしてそれがエスカレートしていったのかを追求することで、観客は単なる感情的な反応を超えて、より深い理解に至ることができるでしょう。
さて、あなたは、犯人に同情しますか?それとも憎みますか?
結論:ドラマ【秘密】心の葛藤と社会への問いかけ

「秘密トップシークレット」のこの事件は、ただの犯罪の追跡劇ではなく、社会全体の無反応がどれほど深刻な結果を招くかを描いています。
犯人が傍観者効果による見て見ぬふりに反発して復讐を果たすというシナリオは、単なる憎しみの感情に留まらず、無関心や責任の拡散に対する鋭い問いかけを含んでいます。
犯人を憎むべきか、同情すべきかというテーマは、視聴者に深い内省を促し、私たちが社会の中でどのように他者に対して責任を持つべきかを考えさせます。
事件が描く複雑な人間ドラマと社会問題を通じて、私たちは一人ひとりが社会の一員としてどのように行動すべきかを再考する機会を与えられます。
ドラマ【秘密】は、死んだ人の脳を見ることは倫理的にどうなのか?凶悪な犯罪を解決するためであればその倫理観は変わるのか?という究極の選択を迫られているような結構重いドラマです。
そこへ畳みかけるような、「傍観者効果」に対する問題提起です。
しかも、傍観者を告発するのは、正義のヒーローではなく犯罪者であるという何ともひねくれているというか、行くところまで行ってしまっているというか・・・
このドラマの原作のファンである私も実はとことん暗い性格なのかもしれません(笑)
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