【御上先生】の第2話で、御上先生が、神崎家に飾られている写真のことを話していました。
それは、ケビン・カーターが1994年にピューリッツァー賞を取った作品です。
非常に引き込まれると共に、物議を醸した作品です。
御上先生の話をどう象徴しているのかもきになりましたが、それと同時になぜ自殺しないといけなかったのかも気になり、調べてみました。
御上先生が神崎家に飾られているといった写真
【ハゲワシと少女】

出展:ハゲタカと少女
アフリカのスーダンの飢餓を痛烈に伝える1枚です。
でもそれを見て感じることが真実とは限らない。
確かに、飢えて今にも命が果てそうな少女をハゲタカが今か今かと待っているように見えます。
でも実際は、その少女の母親が、食料を手に入れるために地面に置いたところだった。
そして、ハゲワシも特に少女を狙っていた訳ではなく、食糧配給センターのすぐそばにある汚物置き場に集まっていただけだったという。
ケビン・カーターは、写真撮影後にハゲワシを追い払い、少女は食糧配給センターの方へよろよろと歩きだした。
それを見てケビン・カーターは木陰でしばらく泣いたそうだ。
スーダンの惨状も、写真を撮った時の状況も知らずに、自分が正しいと信じてやまない人たちが「なぜ助けないのか?」と言います。
私はその人たちに問いたい「なぜ助けない?彼はあなた方にこの惨状を伝えました。知ったあなた方はなぜ助けないのか?」と。
そう問いたい私も、何も知らず、何も出来ない人です。
【ハゲワシと少女】の写真家はどんな人?

ケビン・カーターはどんな人だったのでしょう?
南アフリカ共和国のヨハネスブルグの白人居住区で、イギリスから移民してきた中流家庭の両親のもとに生まれました。
隣人愛や人類愛を説くクリスチャンである両親の世代がアパルトヘイト(南アフリカ共和国における白人が白人以外を隔離する人種隔離政策)を許容していることに疑問を持ち始めます。
それからいくつかの挫折を繰り返し、その中で黒人を擁護して殴られて軍を離れるなどし、鬱状態になり自殺を図る。
一命をとりとめ、反アパルトヘイトを訴えるアフリカ民族会議による爆破事件をきっかけにフォトジャーナリストに転身します。
「バンバン・クラブ」と呼ばれるチームを仲間と共に組んで、激しい民族闘争の中へ飛び込んで写真を取り、その恐怖に耐えるためにマリファナを吸うようになります。
ケビン・カーターは正義感が強くて、心が弱い人だったのだと思います。
身の回りで起こっている差別やそれに伴う暴行に憤り、何もできない自分を責め、良心の呵責が危険な場所に駆り立て、恐怖から逃げるために薬に頼ってしまった。
【ハゲワシと少女】の写真家はなぜ死んだ?

ケビン・ターカーはなぜ死ななければならなかったのか?
「なぜ助けなかったのか?」と世間に罵倒されたとしても、自分は間違ったことをしていないことを知っているんです。少女を見殺しにしたわけではなく、その惨状を人々に知らせたことで、誰かが飢餓を救うために何らかの寄付をしたかもしれない。
ただ「なぜ助けなかったのか?」とだけ問うて、何も行動を起こさない人よりよっぽど助けているんだって開き直ればよいのではないか?
私はそう思いました。
実際のケビン・カーターは、受賞による賞賛と批判の両方が渦巻く中「バンバン・クラブ」の仲間の一人が殉職し、一人が重傷を負ったことで、落ち込んでしまいます。
そして、ドラッグの量が増えていき、賞を取ったことで貰った仕事が上手くこなせなくなり、鬱状態が悪化します。
授賞式のわずか2カ月後に自殺をしました。
あまりにも繊細過ぎた。
心が自らの思想と、過酷すぎる状況についていけなかったのですね。
【御上先生】におけるハゲワシとは何?

さて、【御上先生】です。
冴島先生の不倫写真を撮った神崎君はケビン・カーターといったところでしょうか。
世の中の矛盾や不合理に憤りを感じ、それを原動力に危険な戦地へとがむしゃらに向かったケビンは、感じとる感性はあったものの、客観的に見る冷静さと、真実に立ち向かう強さが足らなかった。
神崎君は大人ぶってはいるものの、やはり高校生。
目に見えている事象だけでなく、その裏側を見通す目は当然まだない。
その彼に冴島先生たちを狙っていたハゲワシの存在を知ることが出来るのでしょうか?
いったい隣徳学院と、文科省の間にどんな闇があるのか、気になります。
まとめ
御上先生が、神崎家に飾られていると言った写真【ハゲワシと少女】
【ハゲワシと少女】を撮った写真家ケビン・カーター。
彼は、素晴らしい写真を撮りながらも、自らの正義感と周囲の差別や不条理につぶされて自殺しました。
神崎君は、真実を人の目に晒すという信念を貫き通す強いジャーナリストになれるのか?
気になります!
いやいや、もっと目前の【御上先生】がどんな真実をさらけ出してくれるのか、まずそれを知るべきですね!
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